゙いきいぎでは小学生の国語にも力を入れ、短文作りなどを定期的にやっています。時には感想文なども書いてもらいます。今日は小学高学年の子が書いた童話を紹介したいと思います。1600字の大作です。どうか最後までお読み下さい。

私は雨

私は雨、雨の一滴です。街の上をおおった雲から、今、飛び立とうてしている。雲は黒いけど、私たちを見守ってくれるから好きなの。「早く街に行きたい!」、「どんなものがあるんだろう?」、そう思えば思うほど、うれしくなって楽しくなって、早く街に行きたくなった。

いよいよ、その時がきた、私が雲から飛び立つ時が。私は「エイっ」と言って飛び立った。その時だ!「カー」と叫んだ鳥が私の横を通って行った。私はびっくりして「うわっ」と叫んだ。だってしょうがないでしょ!私、間近で鳥を見るのは初めてなんだもの。雲の上からは見てたけど、やっぱりびっくりするものなのね。そう思っていたら街が見えてきた。私は笑って「もうすぐだわ」と言った。

そして街に着いた。私はびっくりした。さっきの鳥よりもずっと・・・・。だってすごいんだもの、大きな建物があったり、たくさんの人がいてにぎやかで、すごくたのしそう。もっと、早くいろんな物が見たくて私は歩く。少し歩いただけでいろんな物に出会えて楽しかった。するとおいしそうなにおいがした。その方へ行くと人間にぶつかりそうになった。びっくりしたけど、人間には私のことが見えていないみたい。ちょっとさみしい。「大丈夫。」と自分に言い聞かせて立ちどまっていたけど、せっかく街に来れたのだからと、私はにおいのする方へ行った。窓をのぞいてみたら、そこにはすごい物があった。ソレはのびたり、丸くなったり、中にはいろんな色があった。形も次にはコロコロと長くなって、そしてまた丸くなって、それから細く長くなって、かたそうになった。目を丸くしていると、「カッ」、「カット」 と少し激しい音がなっていた。見てみると、その長い物を人が切っていた。そして袋に入れて見ていた子にあげた。みんな食べた。私はびっくりした。食べたあと子どもたちが「アメおいしい」と言ったからだ。『あめ』、私たちと同じ名前。最初は私たちのことをいったのかと思った。でも私たちは雲から降ってくる。だからすぐに違うとわかった。

今日はいろんなことがわかった。大きい建物は迫力があるとか、雨とは違うアメがあること、そして一人は少しさみしいこと。そんなときは降ってきた仲間が見つからないかと思ったけど、それは無理。なぜなら『おきて』があるから。飛び立つ雨とは話してはいけないという『おきて』。私は、前にこのおきてについて訴えたことがあったが変えてもらえなかった。理由も教えてもらえなかった。それは悲しかったけど、「街に行けるんだも、きっと楽しいよね」と自分をはげましていた。でも一度来てしまえば八年は、絶対に、雲には帰れない。それも『おきて』だから。

私は寝るところをさがしながら、とぼとぼ歩いていった。その時、人間、少年にぶつかった。「うわっ」と叫んだ。その時また少年も「うわっ」と叫んでいた。私はびっくりした。「大丈夫?」、とつぜん少年が話しかけてきた。私はさらにさらにびっくりした。びっくりしてカチカチになっていた。やっとの思いで私は少年に言った。「大丈夫だけど、私の声が聞こえるの?」。少年ははっきり言った。「うん、聞こえるよ」。私はその答えがすっごくうれしくてうれしくてたまらなかった。私は言った。「なら、私の話し相手になってよ」と。そして雨と少年はずっと仲よく友だちでいた。

どうでしたでしょうか?倒置法あり、反復法あり、擬態語あり、短文挿入ありの小学生とは思えない文体です。雨というタイトルは私が指定したものでしたが、見事に予想を超えた発想・ストーリーでした。そしてこの作品のすごさは、途中で子どもたちの目から見た大人社会の理不尽さや矛盾を訴えた場面が入っていることです。お気づきでした?『おきて』の部分です。さらに仲間に会えず孤独でさみしい主人公を仲間でない人間(少年)との出会いが救ってくれます。共生社会をイメージさせてくれました。最後は尻切れトンボのようですが?逆に「そのあとを知りたい」という思いにさせてくれる作品でした。